サービス残業は違法か
サービス残業は、従業員が労働時間外に自発的に行う労働であっても、労働基準法に違反する違法な行為です。労働基準法では、1日の労働時間が8時間を超えないように定められており、労働時間外に働く場合は、時間外手当が支払われることになっています。つまり、時間外労働をする場合でも、必ず報酬を受け取ることが求められます。そのため、雇用者が自発的にサービス残業を募ることはできませんし、従業員が自発的に行っても違法な労働に該当します。また、サービス残業を強制された場合は、雇用者による労働基準法違反になります。従業員が自主的にサービス残業を行うことは、健康や労働環境の悪化、ストレスなどの問題を引き起こす可能性があるため、雇用者は禁止し、適切な労働環境の提供が求められます。
どこからがサービス残業か
サービス残業は、労働時間外に、雇用者から指示や命令を受けず、自主的に業務を行うことによって発生する労働時間です。従業員が、会社の業務のために自発的に残業することは、自主的に業務を行うという点で、サービス残業に当たります。しかし、雇用者が従業員に対して、労働時間外に働くことを指示した場合、自主的に行っているように見えても、実際には強制されているため、サービス残業には該当しません。また、労働時間外に、業務のために通常の業務と同じように業務を行う場合にも、サービス残業に該当します。例えば、メールの返信や資料作成などの事務作業、パソコン作業、打ち合わせなどです。労働時間外の業務が、会社の業務に直接関係がない場合は、サービス残業には該当しない場合があります。例えば、社内の環境整備や、自己啓発のための勉強などです。
サービス残業の具体例(一覧)
サービス残業の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
メール対応や資料作成などの事務作業
会社からの指示がなくても、業務の遅延を避けるために、自主的に残業してメールの返信や資料の作成を行うことがあります。
残業を前提としたスケジュール調整
予定された業務量が、通常の業務時間でこなせない場合、自主的に残業して作業を進めることがあります。
打ち合わせや会議の参加
通常の業務時間内にこなせない場合、自主的に残業して会議に参加したり、打ち合わせを行うことがあります。
システムのメンテナンス作業
業務時間内にシステムのメンテナンス作業ができない場合、自主的に残業して作業を行うことがあります。
営業活動のための資料作成や商談
営業職の場合、業務時間内にこなせない商談の準備や資料作成を自主的に残業して行うことがあります。以上のように、自主的に業務を行い、かつ会社の指示や命令がないにもかかわらず、労働時間外に残業することが、サービス残業の具体例となります。
本人の意思でサービス残業を行う事は違法か
労働法において、労働時間外の業務は基本的には有償とされており、労働者が自主的にサービス残業を行った場合でも、その時間に対しては法定労働時間外手当などの対価が支払われるべきです。その点では、自主的にサービス残業を行うこと自体は違法ではありません。ただし、労働者が自主的にサービス残業を行う理由には、上司や同僚からの圧力や、職場の雰囲気、残業を拒否した場合のペナルティーなどがある場合があります。このような状況下で自発的にサービス残業を行うことは、労働者にとって負担が大きく、ストレスや健康被害などのリスクを抱えることになります。そのため、雇用者は、労働者に対して自主的にサービス残業を行うように働きかけることや、サービス残業を強制するような指示を出すことは、労働基準法に違反することになります。つまり、自主的にサービス残業を行うこと自体は違法ではありませんが、自発的な行為であると同時に、強制されたり、社内の圧力や状況によって行われる場合があるため、違法な行為が行われていないかどうかを注意深く確認する必要があります。
サービス残業が黙認されている場合の対処法
サービス残業が黙認されている場合、労働者が自主的に残業を行っているため、労働者側からの申し立てがなければ、問題が明確になることはありません。しかし、サービス残業が行われている場合でも、労働基準法に違反することに変わりはありません。以下に、サービス残業が黙認されている場合の対処法をいくつか紹介します。
労働組合に相談する
労働組合に相談し、サービス残業が行われている実態を伝えることで、組合側が代表して労働者の権利を主張することができます。
労働基準監督署に相談する
労働基準監督署に相談することで、労働者の権利を保護するための措置を講じてもらうことができます。また、労働基準法違反に対して適切な対応を求めることができます。
法律事務所に相談する
労働法に詳しい弁護士に相談し、違法なサービス残業についてアドバイスを受けることができます。また、法的手続きを進めるためのアドバイスや支援を受けることもできます。
労働時間の明確化
雇用者側に、労働時間を明確にするよう求めることも一つの対策です。具体的には、勤務時間の記録の徹底、業務量の見直しや効率化、労働時間外手当の支払いなどを求めることができます。以上のように、サービス残業が黙認されている場合でも、法的手段を駆使して労働者の権利を主張することができます。ただし、問題解決のためには、早期に行動することが重要です。
サービス残業を告発する場合の手順
サービス残業を告発する場合の手順は以下の通りです。
証拠の収集
まずは、サービス残業が行われていることを証明するために、残業した時間や日時、業務内容などを記録しておくことが大切です。また、メールやチャットなどの証拠となるコミュニケーション履歴も収集しておきましょう。
雇用者に対する申し入れ
まずは、雇用者に対して直接的に問い合わせることが大切です。具体的には、残業が違法であることや、労働基準法に違反していることを指摘し、残業代の支払いや労働時間の是正を求めることができます。
労働基準監督署に相談
雇用者による対応が不十分な場合、労働基準監督署に相談することができます。相談窓口に連絡し、残業の実態や証拠を提示し、調査を依頼することができます。
労働局に申し立て
労働基準監督署の対応が不十分な場合、労働局に申し立てることができます。申し立ての際には、サービス残業が行われた実態や証拠を提出し、解決を求めることができます。
法律事務所に相談
労働局による対応が不十分な場合、弁護士に相談することができます。弁護士には、法的手続きの進め方や解決策などを相談することができます。サービス残業を告発する場合は、早めに行動を起こすことが大切です。また、証拠の収集や法律的な知識が必要となるため、専門家に相談することが望ましいです。
サービス残業で訴える場合に有効な証拠
サービス残業で訴える場合に有効な証拠は、以下のものが挙げられます。
・勤務時間外のメールやチャットなどのコミュニケーション履歴
・勤務時間外に出した業務報告書や資料
・勤務時間外の打刻した勤務表やタイムカード
・勤務時間外の作業の内容や期間を示す業務報告書や業務命令書
・雇用者からのサービス残業を促す言動や指示を示すメールやチャットなどの証拠
これらの証拠を収集するためには、自分でできることは積極的に行い、相手から提供してもらうことができるものは要求しておくことが大切です。また、証拠がある場合でも、法的な手続きにおいては、弁護士の助言や支援が必要となります。
まとめ
サービス残業をさせるような会社は、体質的に古い会社も多く、サービス残業だけが問題の場合は少ないのが実情です。サービス残業代の請求と共に、転職を検討するのもおすすめです。